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2004年12月 6日 (月)

なんとSFだった『いま、会いにゆきます』

申し訳ないが、本はまだ読んでいない。映画の感想を書くので、一応原作の絵を入れさせてもらった。

で、映画なのだが、「セカチュウ」の2匹目のドジョウ企画ということで、あまり期待していなかった。よくできているだろう、とは予想していたものの、まあ泣くとか感動するとかそういうことはなかろうと。

映画の印象は終盤近くまで予想通りの展開を示す。よくも悪くも「今風」の作りであり、映像のきれいさは認めるものの、まあ凡庸な「感動もの」という感じ。主人公が現世に戻ってきた理由が、どうにも弱い、などと思っていた。また、人の甦りを「泣けるホラー」などといっていい加減に扱うのはよくない傾向だとも感じたり。

仰天したのが、「復活」した竹内結子が、雨の季節の終了とともに消えてしまった後である。
SFファンならば、ぜひ見ることを勧める。なんと、この映画は時間テーマのSFだったのだ。宣伝でも映画評でも、まったく触れられていないのが何とも不可思議(戦略か)だが、前半で張った数々の伏線が、ものの見事に「大きなウソ」の元に収斂していくさまは、よいSFの醍醐味を堪能させてくれるものだった。

途中までの、だれた展開もすべてこの最後の10分間のためにあると思えてくるし、前述の「復活」の理由の弱さも、ちゃんと説明される。

市川拓司がSFファンだということは知っていたが、こういうことになっていようとは、いい意味で裏切られた。彼の次作の「そのときは彼によろしく」は既読だが、こちらは後半のSFというよりファンタジー的な展開が、どうにもとってつけたようで気になった。現実的な枠組みの中で終わらせたほうがずっとよかったのに、と思ったものである。「いま、会いに……」のほうは、原作がどうなっているかは至急確認しようと思うのであるが、映画を見る限り、SF性がドラマの根幹にきっちりと据えられており、はるかにできがいい。

テーマ的には、そう目新しいものではない。僕が連想したのは、「マイナスゼロ」(広瀬正)と「ハイペリオン」「エンディミオンの覚醒」(ダン・シモンズ)。おそらく作者は絶対に読んでいるし、意図的に「引用」していると思う。機会があったらぜひきいてみたい。特に後者については、目の前で死んでしまったヒロインの若い時期と未来において再会する、という構成が非常によく似ている。
ただ、こういう原点探しはあまり意味がない。このSF不遇の時代に、まったくSFと銘打たないことで、非常にピュアなSF映画が生まれた、ということを素直に受け入れたい。

また、日本においてSF映画を作るのなら、宇宙ものやドンパチのものより、広瀬正のようにドラマを中心に据えた原作のほうが可能性があるのでは、と夢想していたのであるが、こういう形で実現してみると、もう敢えて「マイナスゼロ」そのものを映画化する必要はない、と思えてくる。形を変えながら、思いは引き継がれていく。そういうものかもしれない。

まあ、思いがけずSFであった、というショックを差し引いても非常によくできた映画である。キャスティングもいいし、演出も非常にうまい。また、高校時代の表現がこれまたよく出来ていて、1本で3本分くらい楽しめる映画である(感動ホームドラマ、青春もの、時間SF)。文句なく、僕の中では今年のベスト1としたい。

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