「SFってのは絵だねえ」と改めて思った「テッカマン」
ずいぶん古い作品で恐縮だが、最近、CSで放送中の「宇宙の騎士テッカマン」を見返した。
「ガッチャマン」「キャシャーン」と並ぶ3大タツノコSFヒーローアニメ(「ポリマー」を入れて4大とすべきだろうか?)の最後を飾る作品である。
当時は、ちょうど「宇宙戦艦ヤマト」の放送直後で(まだ、ブームにはなっていない)、その影響下にあったためか、宇宙を舞台としている。
実は、作品としては失敗作に分類されている。本来1年の放送予定だが、26本で打ち切りになってしまい、ストーリー的には決着が付いていない。失敗の原因はいろいろあるが、やはり最大の問題は、主人公グループのヒーロー性の薄さだろう。「宇宙版ガッチャマン」を目指したというものの、科学忍者隊に相当する「スペースナイツ」が、非常に弱弱しい。主人公の丈二は、「たまたま」テッカマンになる体質を持っていた、というだけだし、ひろみに至っては、宇宙開発センターの局長の娘というだけで、特に特殊能力もなければ、作中で目だった活躍も一切しない。戦闘中は、単なる留守番役である。
ムータンは、要するに「ペット」であるし、ぺガスは、テッカマンの乗る「ウマ」である。
唯一、スペースナイツの名にふさわしいのは、これまた「たまたま」地球に取り残されたアンドロ梅田という宇宙人。彼は、テレポート能力を持ち、宇宙忍者(?)ともちゃんと戦える。
結成の仕方も、ほとんど行き当たりばったりである。なんとなく頭数がそろったような気がしたので、天地局長が思いつきで命名しただけのように見える。
作中でひろみがガキに向けて「私たちスペースナイツは、厳しい訓練をくぐりぬけてきたのよ」と語るが、なんと言うか語るに落ちるという感強し。日本のアニメや特撮には、数限りない防衛チーム的団体が登場したが、郡を抜いて存在感のないチームと言えるだろう。(そもそも、開発センターや防衛軍の中でちゃんと公認されているのかどうかも怪しい)
また、これは別のところでちゃんと書こうと思うが、ヒロインのひろみがあまりに魅力がない。常時パンチラという気が狂ったコスチュームを着ているということ意外に、これといった特徴もなく、丈二との仲もあるんだかないんだかわかんない感じである。なんといってもデザインがしょぼい。白鳥のジュンやルナとは比べるべくもない。
といろいろ書いたが、欠陥をあげつらうのが目的ではない。今回本当に思ったのは、「テッカマン」満ち満ちているSF映像のすばらしさである。
たとえば、主人公の乗る宇宙船・ブルーアース号である。中の重力圏からの脱出速度を単体では出せないため、長大なレール上の2段式のブースターで加速。3段目として切り離された本体は、大気圏を脱出する。すると、衛星軌道上に惑星間航行用の「Gフィールドエンジンユニット」が待機しており、合体することで、他惑星への飛行を開始するのである。他惑星・衛星に着陸する場合はその逆で、軌道上にGフィールドエンジンユニットを残し、切り離された本体だけが下降する、という懲りようである。
また、操縦方法も、日本のアニメに蔓延する適当なハンドルとかではなく、宇宙船自体がAIを積んでおり、指示はタッチパネルのようなキーボード入力と、音声認識によるという「それらしい」表現がとられている。
あるいは、最大の見せ場とも言う、宇宙空間でのテッカマンの戦闘シーンである。大気による減速がない、ということをちゃん「絵」にしており、メインの武器である「テックランサー(槍)」を投げると、どこまでも飛んでいってしまう。それを回収するために、「テックウィン(鞭)」をふるって回収する、という一連の動きを常にアクションとして見せるのである。また、重力がないということを意図的に強調するため、天地逆のアングルを多用しているのも特徴だ。(宇宙なのに上下がはっきりと存在している「ヤマト」とは一味もふた味も違うのである」
というようなモロモロを見ていると、本当にSFというのは「絵」なんだとしみじみ思った。人類の知を拡大するような新しい概念・ビジョンを提示するのがSFの目的であるが、それは観念でとどまっていてはダメであり、一目で見て分かる「絵」として提示することが非常に重要なのである。それがあって始めて、他の伝統的ジャンルにはない「SF」ならでのワクワク感(堅く言うとセンス・オブ・ワンダー)を呼び起こすのであろう。古典的な作品で言うなら、「サンダーバード」のメカ描写であり、「2001年」の宇宙シーンが最たるものだ。
なお、「テッカマン」は、前提となる世界観も非常にリアルである。未来の地球が公害問題の深刻化で、人類の生存が不可能のになりつつある、という中、人類の未来をかけて他の恒星系を探査し、移住しなければいけない、というのが大テーマなのだ。絵として魅力的というのとは違うが、空はスモッグで覆われ、地上には昆虫もいない、海も死に絶えている、という情景が繰り返し提示される。
作品的には欠陥が多いが、少なくとも「テッカマン」は、近未来の地球を一定のリアリティをもって考察し、その中での宇宙戦闘を「絵」として具現化した、という意味で、実はその後もあまり例のない、珍しい本格SFアニメだったと、今にして思った次第である。
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