再録・著作権システムへの挑戦状!!
今インターネット界を「MP3」という名の妖怪が徘徊している
僕が、MP3の名を知ったのは、作家兼音楽家のたくきよしみつ氏からである。3ヶ月くらい前のことだ。「とにかくすごいんですよ。レコード会社など業界が全力で存在を隠しているから一般には知られてませんが、マニアの間ではたいへんなことになってます」。
ようするに、DVDでも使われている圧縮技術(MPEG)を応用し、音楽をデジタルデータ化するということである。正直言ってその時は、それほどの大事件とも思っていなかった。
しかし、その後レッツノートミニと同時に購入した解説本(「レッツノートナビゲータ2」ソフトバンク刊)にかなりのページを割いてMP3関連の記述があったのを見て、少しいじってみることにした。
すぐに自分の不明を恥じた。確かに「すごい」。まず音質が驚異的だ。オンラインソフトのプレイヤーでネットワーク上から取ってきたファイルを再生してみ
たのだが、適当なヘッドフォンで聴く限り、ウォークマンのレベルは十分に超えている。CD並みというと言い過ぎだが、ノートパソコンのいい加減なサウンド
チップで再生していると思うとちょっと信じられない。
そして、なんと言ってもファイルサイズがわずか1曲あたり3~4Mバイトというのがすごい。これなら確かにインターネットで十分配布可能だ。
で、実際に世界中のマニア達が、手持ちのCDを次々とMP3化して(ファイル変換自体はオンラインソフトで簡単にできる)、インターネット上でばらまい
ているわけだ。これは音楽業界が仰天するのも無理はない。デジタル化したデータは、その瞬間に全く劣化なしに、いくらでもコピー可能になる。しかもそれに
インターネットが加われば、著作権保護など風前の灯火である。
実際には、各プロバイダとも「.mp3」の拡張子のついたファイルは無条件で削除するなど(これはこれでとんでもないことだ)、対策に躍起である。だ
が、こういった対策は後手に回るのが世の常。マニア達は拡張子を変えるなどして、相変わらずMP3ファイルを続々とネットワークにアップしている。
ハードメーカーにも脅威
アダルト以来のインターネット第2の衝撃
ここで重要なのは、影響は音楽業界など著作権フォルダーに限らないことだ。考えてみて欲しい。MP3ファイルは単なるパソコンのファイルで、どん
な媒体にもコピー可能なのだ。もはや、音楽はCDとかMDとかハードメーカーが提供したお仕着せの媒体に依存する必要がなくなったということなのである。
現に、秋葉原では韓国製のMP3専用再生機が4~5万円で売られ、大変な人気だと言う。これは、フラッシュメモリにパソコンからMP3ファイルをコピー
して再生するだけのもの。可動部分がないから、音飛びは原理的に起きない。過去の如何なる「○○マン」より携帯に向いていると言える。だが、著作権的に疑
義のあるMP3プレイヤーを一流のメーカーが売り出す訳にはいかない。MP3はハードメーカーからも目の敵にされる宿命なのだ。
ここで確認しておくが、現在のMP3ブームは著作権的には「真っ黒」である。CDをMP3化してアップするのが著作権を踏みにじっていることはもちろん
だが、単に自分の手持ちのCDをMP3化して自分自身が聴くだけでも著作権法に抵触する可能性が濃厚だ。なぜなら、現在の著作権法では、「個人的・家庭内
の使用」であっても「デジタル録音」に関しては、レコードなどアナログ機器より一段厳しい規定を持っているからだ。全業界がMP3を抹殺しようとしている
のは、ある意味で当然なのだ。
MP3をアップしているホームページには「ダウンロードした人は、48時間以内にCDを買えば大丈夫」と書いているものがあるが、まったく根拠はない。
だが、断言する。業界の必死の対策にも関わらず、MP3は決して死なない。なぜなら、パソコンやインターネットの技術は、人類が生み出したあらゆる文化
をデジタル化し、どこでも誰でも享受できるようにする、という明確なベクトルを持っているからだ。ノートパソコンが1台あれば、自分が作ったファイルのみ
ならず、地図も、辞書も、そして好みの音楽まで持ち運べる、あるいはネットワークから好きなときにダウンできる、この快適さを味わった人は、二度と前の不
自由な生活には戻れない。
インターネットは、アダルトコンテンツによって第一のブームを迎えた。それには、もちろん光と陰があった。同じ意味で、今年MP3が最大のブームになるのは間違いない。というより、もうなっている。
これまた断言するが、この調子だと「映画・映像」をデジタル化してネットワークで配布できるようになるまで、そう時間はかからないに違いない。21世紀に向けて、この圧倒的な「デジタルの波」と著作権問題をどう整合させていくのか。悩ましくもおもしろい時代の始まりだ。
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