2008年12月27日 (土)

1998年夏 香港食い倒れツアー始末記

これも再録

それは一冊の本から始まった

 このお盆に妻の強要で香港に行くことになった。といっても特に香港が良かったわけではなく、「どこか連れて行け」と言われた時点で、他に予約可能な外国 がなかったというだけの理由だ。香港は春にも行っているので、勝手が分かっていて安心という意味もあった。しかし、逆に言うと観光ポイントは一通り観てし まっているため、今回は別の目的がほしいところ。本屋でガイドブックを探していると、妙に目に付いたのがこの本(写真。以下単に「テキスト」と表記)。 「読むべき本には読むべき時に必ず巡り会うものだ」との北杜夫先生の教えに従い、早速購入した。
 買ってみて分かったのだが、この本は「ラポート」発行で「ファンロード」編集だったのだ。分かる人には分かるが、ラポートと言えば今はなき「アニメッ ク」の版元。「ファンロード」といえば、マニア系読者参加型雑誌の老舗(今も出ているのだろうか)。どうやら「ファンロード」では、アニメ・マンガと無関 係な「香港食い倒れツアー」まで主催していたらしい。内容も非常にマニアックで信頼できそうだったので、今回の香港旅行はこのテキストをベースに「食い倒 れツアー」と位置づけることにした。

初日夕食 日航ホテル「桃李」の巻
セットメニュー選ぶべからず

 今回のホテルはハイアットリージェンシー。外装工事中で安い(らしい)、というのが選んだ理由だが、地下鉄駅の真横という、ロケーション的には最高のホテルだ。しかも前回の「香港ホテル」と違い、電話機には一般的なLINE端子が付属していてパソコン通信に実に便利。
 まずは、ちょっと遠いが日航ホテル内の桃李に出撃。テキストに「駅から離れているため人気がないが、味はよい」とあったからだ。
 350ドルのセットメニューを選ぶ。これが結果的には失敗だった。主に妻の意見だが「セットメニューだと『何を食べたか』の印象が薄い」のである。確か に、点心、魚、焼きそば、マンゴープリンといろいろ出るが、どれも可もなく不可もなくという感じ。旅行中で金銭感覚が麻痺しているから当初は気にならな かったが、考えてみれば日本円で7000円分の価値があるかはちょっと疑問が残った。
 しかも、ホテルに帰ってから、旅行代理店でもらったクーポンに桃李10パーセント引き券があったのを発見。ショックが大きい。考えてみれば、テキストでほめていたのは、桃李の飲茶のほうだったし、夕食それもセットメニューを選んだのは失敗だった。総額893.2ドル。

2日目昼食 ポルトガル料理
イワシと雑炊にほぼ満足

 2日目はマカオに。朝食は、マカオへの船「ターボキャット」の中で軽食が出たのでそれで済ませた。
 昼食はポルトガル料理をということで、「地球の歩き方」に載っていた「ロッシ」という店に行く。これまた「地球の歩き方」に紹介されていた「オクトパスライス」と「イワシのロースト」を頼む。ちょっと塩味が強いがシンプルでおいしい。チップ込みで2人で120ドル。

2日目夕食 ベトナム料理
特記事項なし

 妻の友人と合流。オクトパスライスで結構お腹が苦しかったので、セントラルのベトナム料理のファーストフードへ。生ハルマキのようなものがおいしかったが特に語るべきものはない。
 その後香港で静かなブーム中という「サルサパーティー」にかり出されたが、これは別の話。

3日目昼食 飲茶+アワビ
「フレンチキス」を堪能

 今日は力を入れると決意。まずは、ホテル内の「凱悦軒」へ。前回の旅行でディナーを食べて印象が良かったというのと、テキストで「飲茶がおすすめ」とあったからだが、実は他にも大きな野望があった。
 テキスト中で重視しているのは「3大珍味を食べる」ということ。一番手はアワビである。これをまっとうにディナーで食べては大変な出費になる。そこで、 飲茶タイムにあえて一流レストランへ行き、点心をベースにした上で「一点豪華主義」で夜のメニューも頼んでしまう、という「技」が推奨されていた。これを 試そうというわけだ。
 まずは、凱悦軒名物の「点心盛り合わせ(4種)」をオーダー。少人数でも多くの種類が楽しめるのがよい。そしておもむろに「How much today's abalone」と怪しい英語できく。「Just a moment please」と言い残しウェイターは奥へ。「2000ドルっていわれたら断念しよう」などとヒソヒソ話していると、ウェイターがメモを持ってくる。 「1050」と書かれている。そして彼はジェスチャーで「この位の大きさ」と示す。ずいぶん小さいがこの際仕方がないのでオーダーする。ほとんど麻薬の取 引のようで怪しくてよい。
 点心を食していてもどうも落ち着かない(味自体はたいへんよかった)。食べ終わったころについにアワビの登場である。やはり小さいが何と言ってもこれで 「2万円」である。2つに分けて、おもむろに食す。「ムチッ」としか表現できない味だ。確かに舌に吸い付く独特の食感がある。「フレンチキス」とはこのこ とかと実感。
 おいしかったか、というと難しいところだが、珍味を食したという実感は十分にあった。トータル1309ドル。

3時のおやつはいつもの「糖朝」

 足ツボマッサージに行く前に、甜品、甘いものを楽しむことに。前回も某嬢に教えてもらって行って非常においしかった「糖朝」である。
 テキストを始め各種のガイドブックで研究しておいた成果を生かし、「ゴマ団子のショウガ汁」「ゴマのお汁粉蓮の実入り」「マンゴープリン」の3品をオーダー。お汁粉は「せめて白玉でも入れて」と思ったが、おおむね満足。トータル58.3ドル。

3日目夕食 ガチョウのロースト
オーダーに進歩の跡あり

 さて、ガチョウである。セントラル地区の「ユンキー」(漢字が出ない)という有名店。テキストでも「普通の広東料理を極めたら、特徴のある店へ」という文脈で推薦している店だ。昨晩合流した妻の友人の日本人駐在員有閑マダム軍団も「おいしい」と評価していた。
 行ってみると、さすがにホテルレストランとは全然雰囲気が違う。活気があるというかうるさいというか。で、オーダーだが、日本人語解説付きのセットメニュー中心の抜粋メニューは無視。グランドメニューからてきぱきとアラカルトで注文していく。
 まずはガチョウのロースト、次にテキストの勧め通り「エビのボイル」を半斤(どういう単位かよくわからないが、ハーフと言ったら理解したようだ)。で、 今日も一点豪華主義として「フカヒレのスープ」(何とひとつで350ドル。ガチョウの倍だ。ウェイターが一つでいいかときくので「Only one」と言ったが、確かに少なかった)、押さえとして「青菜のオイスターソース」を頼んだ。(ページ冒頭の写真がガチョウとエビ。左がフカヒレスープ)
 結論で言うと、今回のツアー中、もっとも上首尾の食事だった。ガチョウは名物だけあってそれなりの味だし、妻は突き出しとして出ていた皮蛋(ピータン)を 「信じられないくらいおいしい」と評価していた。フカヒレは「まあこんなもの」という感じではあったが。食後にデザートとしてカスタードパイ(右の写真) を食し、締めて838.2ドルであった。

最終日朝食 亀ゼリー
中国3000年の珍味で締めくくる

最後の朝は、まず再び糖朝へ。メニューに熟達して来たので、モーニングセットから「五目入りお粥と揚げパン(油條)」を選択。22ドルとお買い得だ。妻は 「エビ入りワンタン麺」で32ドル。その他前回頼んだ名物の「豆腐花」(甘い豆腐みたいなもの)を頼んだら「熱いのは午後から、今ならコールドオンリー」 といわれ、それでOKする。15ドル。合計(サービス料込み)で75.9ドル。
 続いて、最後の課題の「亀ゼリー」である。前回も食べたのだが、その時使ったガイドブックを紛失してしまい、店の捜索が必要という由。出発の時間が迫っていたので、心配だったが、前回の記憶をたどって九龍公園の向こう側を探ると比較的簡単に見つかった(右の写真)。
 前回は、「いっこ」といったら2つ持ってこられたという苦い経験をしたので、今回は単純に「ワン、プリーズ」と言ったら簡単に通じた。テキストの勧めに従 い、「亀茶」も1つオーダーする。亀茶のほうは、茶というよりスープに近く、生臭い感じで閉口したが、妻は「おいしい、効きそう」と喜んで飲んでいた。ゼ リーは50ドル。亀茶は15ドル(記憶曖昧)ほどだった。裕貨デパートで買った缶詰の亀ゼリーは7ドルだったから、かなりの高級品ということか。

まとめ
チップとの果てしない戦い

 というわけで、まあまあの成果を得て無事終わった今回のツアーだが、反省というか悩みが残ったのが「チップ」の問題である。通常、「サービス料」 が上乗せされている場合はチップ不要と言われているが、にもかかわらず今回ホテルレストランとユンキーなどは、わざわざ「チップ欄」のあるクレジットカー ド伝票を使っていたのである。ここを空白のまま合計額を記入し、サインするのは結構精神的苦痛を伴う。今回はそれで押し切ったが本当に良かったのかどうも 気持ち悪い。
 数年前のイギリス旅行の時もほとほと苦労したが、どうもチップは我々夫婦にとっては鬼門のようだ、と帰路に総括した次第である。


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